就労継続支援B型の利用者は労働基準法上の労働者に該当しませんが、ある要件を満たすと労働者と認定されることに注意してください。障害福祉サービス専門の広島市の行政書士が、労働者性について解説します。
労働基準法が定める労働者とは?
国会への提出は見送られましたが、40年ぶりの労働基準法改正の議論がされています。
そのうちの1つに「労働者の範囲」があります。
1、2025年新宿労働基準監督署が出した是正勧告が意味すること

新宿区の障害者団体連合会に対して、障害者を最低賃金未満で労働させていたとして是正勧告を出しました。
この問題の本質は、労働者の定義についてです。
就労継続支援B型事業所の利用者は法律上の労働者には該当しませんが、そう言い切るためには、以下の条件に該当しないことが必要です。
- 利用者が就労時間厳守を要求されている(自らの経験や能力に合わせて就労できない)
- 就労業務が事業所の受託業務と密接に関連している(委託先企業と事業所が業務委託契約を結ぶこと自体はOKだが、その結果として利用者がノルマを課されて就労していることはOUT)
- 工賃が、時給×就労時間で計算されている
- 就労業務について指示を受けている
つまり、就労継続支援B型の利用者だから労働者ではない、とは断言できず、事態に即して労働者であるかが認定されます。当然労働者には最低賃金法が適用されるので、最悪差額の賃金分を支払わなければなりません。
2,事業所に求められる対応

就労継続支援B型の利用者の目標は「一般就労に必要な知識や能力を身に付けること」なので、ある程度挑戦的な個別支援計画を立てることは必要です。しかし事業所が一方的に挑戦的な目標を立てることは認められるわけもなく、一般就労した際の「労働時間の厳守」「ノルマを課されること」「最低賃金額に見合う労働の提供」を肉体的精神的に耐えられるようになるための助走期間を逸脱していないか、が総合的に判断されます。
「総合的に」判断されるので、条件を満たさなければ必ずSAFEとも言い切れません。事実新宿区の事例では勧告を受けたのは新宿区の障害者団体連合会で、確実に悪意であったとも言い切れません。
3,まとめ

新宿区の事例において、もし本当に事業者側に悪意が無かったとすれば、別の視点で運営上の問題があったはずです。それは、利用者のニーズをふまえて立てるべき個別支援計画に利用者ニーズが反映されていたのか、です。当然誰かが労基署にリークしたことが発端であり、その時点で客観的に見て利用者ニーズを満たしていたとは言い難い状態であったと推測できるからです。
コンプライアンス違反は大半が「知らないことが原因」で発生します。こうした事態を生まないために、我々行政書士といった外部に相談しながらコンプライアンスに取り組んでいきましょう。
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